テストサーバーの話

どうも、私です。
日頃は暗号通貨プロジェクトやALTTrade・BitcoinFXで主に楽しんでいるしがないウェルシュコーギーペンブローク(満6歳)です。
今回は最近遊んでいた"おもちゃ"の話をします。

今回取り上げる"おもちゃ"は
Bitmexにインスパイアされた新規BTCFXサービスで行われた取引コンペティションです。基本的なシステムはBitmexと同じと思って貰って差し支えありません。

以下コンペティション詳細になります。

 

 

まず目に入るのは賞金の多さですね。
10→5→2.5→1.25→0.625→0.3125と上位六人に入ればお小遣いには十分です。また私が参加したのは第二回からなのですが、第一回の入賞者の数や資産残高から入賞が現実的だと判断しました。つまり楽しく遊んで(バグ報告もして)お小遣いをもらってどこか旅行でもしたいなと思ったわけです。

ここで一つ入賞の鍵となりそうなのは、「アカウント作成後、初期資金として10btcを獲得する」という点です。
つまりアカウントを無限に作ることで、市場に無尽蔵のお金を供給できるのです。
そこから「真面目にトレードしなくても市場操作できるんじゃないか?」と思い実行したことについて綴っていきます。

 


試算はざっくり実現可能かどうか机上で測っただけなので悪しからず。計算間違い等々より実際にこういう立ち回りができる(できた)のではないかという話です。収益ランキング更新されて画像の用意ができなかったのはご愛嬌。


 

入賞条件

 

まず、大前提として入賞するための最終資産残高がどれくらい必要か。第一回の入賞ランキングについてです。
第一回入賞ランキングでは目標である6位の資産残高が"1000btc"でした。「そんなにいけるものなの!?」と思うかもしれませんが行けるかどうか考えてみましょう。。

10btcを原資に1000btcまで増やしていくにはざっくり3500k$(35億)稼ぐ必要があります。


常時レバレッジ25倍で250枚抱える単利の場合は下記のように利確をこなす計算になります。
250枚×n$幅=3500k$(1000btc)
から
n=3500k$/250枚で 14000$幅になりますね。

1日の値動き幅をわかりやすく完全にヨコヨコからシンプソンで動くとして上下で300$が2回あったとしましょう。(300$幅L→300$幅ドテンS)×2=1200$幅です。開催期間が7日間なので8400$幅を獲得した計算になり、常に完璧に値幅を捉え続けても足りません。

単利ではなく複利で計算した場合は保有枚数上限1000枚の縛りがあるのでひとまず置いておきますが、それでも「完璧に値幅を捉え続けてもボラがギリギリ足りるか足りないかレベル」ということはお判りいただけるかと思います。

 


仮説

ここで引っ掛かるのは「第一回入賞者は正攻法の裁量トレーダーだったのか」という点です。
では何かしら機械的取引を行って稼いでいた場合どういった動きが行われていて、出し抜く手段はあるのか考えてみたいと思います。

まず新規アカウントを作成することで市場にお金を供給できる前提で単純に値動きに対する依存が少ない簡単なBOTを考えてみます。

 

 

一つ目に思いついたのは"マイナス手数料"です。
マイナス手数料とは、板を出して約定させた場合に手数料を徴収されるのではなくメイカーフィーとしていくらか手数料が払われる仕組みです。約定した板の量*0.025%がマイナス手数料として支払われます。つまり、10000$の板を出した場合に10000$*0.00025=2.5USD獲得できます。

単純に10倍で試行するならば、
100000$*0.00025=25$が獲得できるので、これをn回行うことで総資産3500k$を目指します。

25$*n回=3500k$ 
なので
3500k$/25$=140000 
となりますので、上記の板出し約定を一人二役で14000回行います。
一日1440分×7日間で10080分なので、一分に一回以上行わなければいけません。

サーバーが落ちていた場合やスクリプト化の動作の調整など鑑みても「マイナス手数料単独では難しい」と結論付けました。

 

 

二つ目は、"FundingRate"です。
Fundingrateとはポジションの偏りに対して徴収される手数料のようなもので、8時間に1度保有しているポジション量から徴収されます。
ポジションの偏りはアカウントを大量に作成することで調整できそうです。

8時間に1度保有ポジション量に対して最大0.3%なので、3500k$(1000枚保有)抱えて迎えるとして3500k$*0.003=10500$を一度に獲得できます。
一日3回Fundingrate調整が行われ×7日間の開催で計21回発生するので、10500$*21=220.5k$が獲得できます


こちらもマイナス手数料同様に、単独では目標資産額には到達できません。

 

 

 

 

次はボラティティや環境に依存した"ハックな"手法について考えます。

1つ目に"マーチンゲール法"を思いつきましたが、保有枚数上限がある以上単純な倍々ゲームとは行きません。
仮に保有枚数上限がなく満足に約定・利確ができ、かつ倍々ゲームができるとすると

20の6乗が1280なので、単純に20btc抱えたアカウントを2の6乗個で128個。10btcスタートの場合256個必要になります。

とてもじゃないですが、難しそうです。しかしこの仮説は実践編で少し活かされます。

 

 

 

ここからが大事

2つ目は私が思いついた中で一番現実的な「板を吹き飛ばしながら利確"させる"」手法です。
板が薄ければ100枚成り行きを連打することで行うと30$以上動かせるのではないか。

1. 板を厚みを確認し板の薄い方向にメインアカウントでポジション(ここではロング)を持ちます。
2. メインアカウントで利確とドテンの指値を入れます。
3. 次に捨てアカウントを作成し、成り行き買いを連打しメインアカウントの利確とドテンを約定させます。
4. メインアカウントで今度はショートの利確指値とドテンの指値を入れます。
5. 捨てアカウントで手順3の反対を行います。


私の他にも参加者がおり、自動的に板を出すBOTも存在していたので、連続で成り行きを行うことが重要になります。

アカウントを大量に作成することで成り行きは何回でも行えるのでと希望が見えてきました。懸念は「私以外の参加者も恣意的なボラで儲けてしまう」点です。

 

 

この手法の場合は「n回試行することで目標金額に届く」ことより、「1回の試行あたり私の儲け>他の参加者の利益」になることが重要になります。
しかし、やってみなければわかりませんし、正攻法の裁量トレードを行うよりは勝機がありそうなので第二回コンペティションではこちらを採用しました。

 

 


 

 

手順と問題と実践


上記の手順を実行しようとした場合、一つサービス上の問題が発生しました。
それは「一度に成り行きを行える枚数がbtc60枚程度」ということです。板に対する処置なのか、成り行きもMarketCloseボタンも拒否されます。

このままではBOTの板出し速度を成り行き連打速度が上回らなければいけません。


BOT作成者もしくは他の参加者が気付くまでこの手法でもできないことはありませんが、非効率的であり捨てアカウントを大量に手動で作成しなければならないため手間がかかります。


では、一度に大量の成り行きを行うためにはどうするか。
「強制ゼロカットなら一度に保有ポジション全部成り行きされる」仕組みを使うことで解決できます。これに鑑みて手順を変更しました。

1.メインアカウントで強制ロスカット(250枚)でたどり着けるギリギリの板の暑さの手前に新規ポジションの指値をおきます。
2.捨てアカウント1でレバレッジを効かせロングポジション250枚持ちます。
3.捨てアカウント2でレバレッジを効かせショートポジションを250枚持ちます。
4.ボラティリティが発生し捨てアカウント1.2どちらかが強制ロスカットされるのを待ちます
5.メインアカウントで”基準価格より”優位なポジションが建ちます。
6.メインアカウントで基準価格付近に利確の指値をおきます
7.捨てアカウントで成り行きを行い、メインアカウントを利確させます。

 


この状況を作り、一番左のメインのアカウントで有利な指値で約定させます。

この手法ならポジションを持っている方向に動かない場合でもメインアカウントが利益が出せないという問題を、どちらに動いてもいいように両方向へポジション指値を置いておくことで解決できます。

 

ここで一つさらに悪いことを思いつきます。
「これって半端ないヒゲ出せるんじゃない?」
板をあらかじめ薄くすることで成り行きが走っていく幅を広げられるのではないのかと気づきます。

こちらが実際に私が出したヒゲの画像です。

とんでもないことになっています。

さらに悪いことを思いつきます。

「これ捨てアカウント複数で同じ価格で強制ロスカットされるようにしたらもっと先まで吹っ飛ばせるんじゃない?」

 

その結果がこれです。このやり方を行うとサーバーが止まるのでとりあえずは却下になりました(時系列前後は許してください)

 


 

 

 

実践


あとはこれを繰り返すだけです。念には念を入れ、仮説の検証だけを二日前に行い、少量最終日前日に稼ぎ、荒稼ぎはコンペティション最終日に行うことにしました。

 

しかし問題はまだ残っています。
「このボラは間違いなく私が作っているが、他の参加者の資産はどうなっているのか」という点です。
そして不安は的中します。

少量ヒゲを出し稼いだ直後の更新残高です。

 

こちらが最終日コンペティション締め切り12時間前の残高ランキングです。

 

 

私が70BTCほど稼いでる間に他の参加者がそれ以上増やしていることがわかります。ここでおかしな点が出てきました。

「私が約定のほとんどを受け持っている上に、他の参加者はヒゲ先での約定履歴が存在しません」。歩み値をみていると確実に私が最後の約定をさせており、板を余らせているので私より良いポジションを持ってる人はいません。

さらに、BOTが基準価格より前後30$幅にしか板を出さないような動きをしているため、私が作ったヒゲを私以上に拾っていなければこの増加量はとてもとてもと言いたくなります。しかしここで考え過ぎても仕方ありません。

私はBOTに負けることを覚悟し少なくとも"同じ悪さをしてる人"に勝とうと思いました。

 

 

あとはランキング更新からコンペティション終了まではやり続けるだけです。

途中で同じことをやろうとしている人がいたようで板出し合戦になりましたが、コンペティション終了六時間前にサーバーがダウンし、彼も心が折れたようでそれにて休戦の合図となり私も眠りにつきました。

こちらが最終残高です。

 

 

やはり上位陣の稼ぎ方が不穏な気はします。ですが、目標ランキングには入れたのでよしとするほかありません。

これで入賞賞金が0.3BTCをゲットできました。

 

 

 

 


第三回は、板の厚みや基準価格との乖離制限?が実装されたようでヒゲ出しは満足に行えませんでした。しかしマーチンゲール法を簡単に使いサボりながらも7位入賞です。入賞賞金は0.15BTCです

ここで前述の上位陣BOTが私より稼いでる理由かもしれないものを見つけます。それは、第二回では私のアカウントでは発生しなかった"ADL"です
"ADL"一時的に大きなボラが発生した場合、利益が出ているポジションも強制決済されるというものです(zaifに似たようなものがあったはず)
長いヒゲを出していた時のサーバーのラグは、利益ポジを抱えていたBOTがADL処理を行なっている時間だったかもしれません。
真偽は定かではありませんが、彼らのBOTのロジックなど教えてもらえたら面白いなと思うばかりです。


こちらもランキングを見ると、真っ当な手法で立ち向かうのは難しいかもなと思わされます。



第四回は、いたって普通の動きになっているようです。真面目に裁量トレードやろうと思ったのですが、適当に遊んでるだけで入賞を逃してしまいました。あと一回裏表を当てられたら結構な金額だったなと一位を狙いに行って大敗した負け惜しみを言っておきます。
第四回コンペティション結果

 

 

実際色々やったように思えますが、仮説・検証・実働はそんな長くなくむしろこの文章を書いてる時間の方がかかってるくらいなので、良いエアードロップでした。またこう言ったチャンスがあれば勝算を見積もって楽しませてもらおうと思っています。数少ないチャンスの一つを紹介してくれた上、システムのバグに対する愚痴に付き合ってくれた友人に感謝です。

こう言った本当に美味しい話はあまりおおっぴらにせず独占されがちだということも良い勉強でした。私一人ではありつけたかわかりません。人に勧めるというのは何かしら理由がある、と判断するのが食い合う世界で大事なことかもしれませんね。

 

 

 

こっから先は割とどうでも良い当たり前の話。

 

実際のトレードに活かせる点反省など

 

利確しなければ資産は増えない

当たり前のことですが、10btcの利確を狙いすぎて5btcの利確をし損ねてそのままゼロカットということがなんどもありました。
利確をすること、そして機械的に利確すること、よく言われていることですが「あぁこんな感じで資産が減っていくんだ」とよくわかりました。(某株有名人GIFUさんが教えてくれていることでもあります)
アカウントが無限に作れるので良しと言いたいところですが、これが現実のお金だったらと思うと....。

 

レバレッジを過度に効かせたら簡単に資産を吹っ飛ばせる

ヒストリカル・アクティブ・インプライドボラティリティなどという言葉がありますが想定しているボラと現実のボラに対する、自分の行動(エントリー利確損切り)はしっかり考えて置かないと....あとで泣きを見ますね。最終日ロスカット食らって入賞逃した教訓です。

 

マーチンゲールは楽じゃない

マーチンゲールは単純に其のほか諸々にかかるリスクが大きすぎて現実的じゃないです。「あれこの仕組みマーチンっぽくね?」みたいなBOTなどもあるようですが、板食いや遅延などを鑑みても優位性を保てる手法かと言われると難しいのかもしれないと言わせてもらいます。

 

 

以上 コンペティションで楽しんでお小遣いをもらった話でした。

皆様良きクリプトライフを。