プロフェッショナル仕事の流儀
「あ、おはようございます。思ったより早かったですねwすみませんこんな格好で...」
そう言ってパジャマ姿で迎えてくれたのは、今世界を賑わす仮想通貨トレーダーの億り人彼氏だ。
敏腕トレーダー 億り人彼氏。稼いだ金額は30万をゆうに越える。
Twitterフォロワー数5000越え。仮想通貨アカウントとしては神田一だ。
2017年、未曾有の相場で資産を何倍にもし「寝てるだけでお金が増える」「Bitcoinで人生変わりました」など数々の名言が生まれた仮想通貨。株や為替など投資に縁の薄い若い世代が続々と参戦し盛り上がっていた....。
そこに目をつけた億り人彼氏。
しかし彼は少し遅れて2017年8月から参入したという。
なんで仮想通貨やろうと思ったんですか?
「私が参入した当時はですね、色々トラブルというか分裂騒動っていうのがあって騒ぎになってたんですね。大昔MtGOXという事件があった時も少し知ってはいたんですが、その頃は全然食指が伸びず...。で、もう一回よく騒動の原因や仮想通貨について調べて見るとこれからの技術でいわゆるバブルになる可能性があるなーと思ってやってみようって思ったんです。」
稼げるからやろうとかそう言った気持ちではなかったんですか?
「そうですねぇ...そういう気持ちがなかったかと言われると嘘になりますが、新しいおもちゃを見つけた気持ちでしたねw今でもいろんな事件があって楽しませてもらってますし本当に知的好奇心をくすぐるというか...」
今日は、小学生のなりたい職業ランキング堂々の第一位、仮想通貨トレーダーに密着していく........。
-----AM 7:00-----
「あ、すみません。朝ごはん食べていいですか?」
そう言って彼が取り出したのはカップラーメン。今をときめく敏腕トレーダーにしては質素な食事だ。
「ボタンをピッて押してお湯入れるだけでご飯が食べられるんでほとんどカップラーメンで済ませちゃってますねw」
そう言いながら彼はせわしなくパソコンを触る。
朝一からそんなにやることがあるんですか?
「あ、これですか?カレンダーを見て今日一日のイベント事や寝てる間の値動きをチェックしてるんです。24時間マーケットが開いているので。」
しかしレポーターは彼がクソTweetを量産しているところを見逃さなかった。
「あ、恥ずかしいところ見られちゃいましたねwずっと集中してると疲れるので適度に息抜きしてるんです。みんながクスッとするようなTweetしたいと思うんですが...(いいねの数を見せる)ギャグのセンスはないみたいですねw」
-----AM8:00-----
彼が急に席を立ち動き始めた。
「日課のワンコとの散歩ですね。これをやるのとやらないのとだと全然精神状態が違います」
そう言って彼は30分ほどの散歩の後、ボール遊びを始めた。
この朝の時間が一番大事だと彼は言う。
「特に休日なんかはアジアが起きてる時間なので張り付いていたい気持ちはあるんですけどねw私にとってはお風呂に入って歯を磨くくらい大事なことなんです。あと朝陽の光を浴びるとセロトニンが出てストレスにも良いって言いますし一日中パソコンに張り付いてると気が滅入りますからね。」
そう言って愛犬を見つめる姿は、パソコンを見ている時とは似つかないほど慈愛に満ちた目をしていた。
------AM10:00-----
パソコンからけたたましくゲームの効果音が響き出す。
そして....彼の目の色が変わる....。
これは何の音ですか?
「これですか?これは市場で大口が取引すると鳴るアラートのようなものですねw何かニュースがあった時などはよく鳴るのでトイレに入ってても気付けるようにこういうの使ってます。」
「これを参考にトレードするってことはあんまりないんですけど、市場の熱狂具合っていうんでしょうか雰囲気を感じるためにですね。ほら(チャートを見せる)このライン割ったでしょ?ここで損きりかけた大口多かったのかなーとかそういうのを目と耳で感じるためにですね」
ゲームのような音がひと段落した彼はノートをだしおもむろに何かを書き始めた。
「自分の精神状態や行ったトレード、INしようか迷った銘柄などをざっくり書いたりしてますね、書かない日もあるんですけど....。勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしっていうじゃないですか、負けた時の記録の方が大事にとってますね」
そう言って今度はまた違うメモを取り出した。
「こっちは個別銘柄のメモですね。一日知らない銘柄を少しでも調べたりとか...全体の流れ、仮説なんかを書き留めてます。この仮説検証反省の段階が一番面白いんですよねw」
これが彼の始めた当初から変わらない日課。小学生が憧れるほど華やかな世界の裏には地道な努力が欠かせないという。
かつては、流行りの銘柄のSlackやTelegramを網羅していたというが今は違う。
「そうやって短期の情報を追って張り合おうとすると、優位性を保てるか不安になったんですよね。だったらもっと違うやり方で優位に立てるようになりたいなって。そう考えて今は"流れ"を重視してますね」
-----PM0:00------
そろそろお昼ご飯ですが何か食べないんですか?
「そうですね...朝ご飯は食べるんですけど、お昼ご飯はお腹空いたらって感じですね。だいたいカップラーメンかレンジでチンで食べられるものなので。」
トレーダーは体調管理が大事だと伺ってますが、食事にはあまり気を配らないんですか?
「まぁ運動したりしてるからいいかなってちょっと甘えちゃってますねw食事に気をとられるのがあんまり好きじゃなくて...。さっきご飯食べたっけ?なんて思うことも結構ありますw」
そう言って彼は本を取り出し読み始めた。
「同じ本何回も読むんですよね。一ヶ月前に読んだ時と今読むのとは一ヶ月分の違いがあると思ってるので。同じ本の中でも頭に残る言葉って多くないじゃないですか、それが一ヶ月で変わっていくと自分の中の変化や成長を感じられて楽しいんですよね。読みながら寝ちゃうことも結構あるんですけどw」
"世紀末リーダー伝たけしを読むことでそんなに感じられる彼の才能の一端が伺える"
-----PM3:00-----
昼寝から目覚めた彼がまたパソコンを見始めた。
「この時間に今日の夜の動きを想像します。指値とか撒くのもこの時間が多かったりしますね。」
そう言って彼は散歩へ行きまたお布団に入って行った。
え、また寝るんですか?
「仮想通貨は夜中に動くことが多いのでこの時間から19時くらいまで休んでおきたいんですよね。」
真面目に働いてるのか働いてないのかわからない男の姿がそこにはあった。
-----PM8:00-----
今回は特別に仮想通貨トレーダーが集まる意見交換会へ同行してもいいという。
今日のトレードは....?
「今日はもうおしまいですね。一日張り付いてても一回もトレードしないなんていうのもザラですし、何もしない時に何をするかの方が大事だと思ってます」
”何もしない時に何をするかの方が大事だと思っている”
そうドヤ顔で語る彼に向けて、
今日一日昼寝と世紀末リーダー伝たけしを読んでいただけでは?とは言えなかった。
こういう意見交換会はよく行かれるんですか?
「彼らは私の何倍も知識も経験もあるので常日頃から学ばせてもらってますね。色んな人がいるので本当に楽しいです」
集合場所の五分前に着いたのは焼き鳥居酒屋。お金持ちが集うにしては....普通の居酒屋だ。
「仮想通貨トレーダーやってる人ってお金持ってる方多いのでどこのお店かって凄く気になっちゃいますwコースで一万五千円って言われたらどうしよってw日頃安居酒屋しか行かないので緊張します。」
「「「「「かんぱーい」」」」」
「えーぶっちゃけあれ収支どうなんですか?そんなに美味しいの!?」
彼はお酒を飲みながらお金の話を遠慮なく聞いていた。
「うちが商売人の家系だからですかねwどの程度の規模でどの程度の収益が上がるとかそういうの気になっちゃいます。だからどうってわけじゃないんですけど....」
しかし、真面目な話を一時間した後、彼は酔って変わり果てていた。
「マジっすかwww彼女とハードフォークwwww受けるwwww電子ゴミ集めすぎたんじゃないっすかwwww」
「いやー界隈のトレーダーだったら◯◯さんと◯◯さんが絶対良い。私が女だったらこの二人に抱かれたいって絶対なってる。」
40歳になった彼の、小学生のような下ネタでゲラゲラ笑う子供のような姿だった。
億彼はこの日、一番の良い笑顔を見せていた。
「トレードで勝つのも嬉しい、負けても良い負けであれば嬉しい。
でも笑ってお酒を飲めるのが一番嬉しいんですよね。」
この後は....?
「この後はちょっと取材同行遠慮してもらって良いですか?闇の話とか危ない話とかもあるんで申し訳ないですけど....。」
そう行って彼と仲間達は静かに夜の闇(ギリギリスリットチャイナ)に消えて行った。
〜Progressが流れ始める〜
-------億り人彼氏にとって仮想通貨とは?------
「人生を変えてくれた....キッカケですかね....」
次週仕事の流儀は一躍時の人となったBitconnectの名物おじさんCarlos Matosの一日に密着する。